スコットランドのオークニー島にある Linklater Voice Center で行われたワークショップを受けてきました。Voice?Danceじゃないの?という声が聞こえてきますが、そう、Voiceです。
このヴォイスワークはコロンビア大学で教鞭をとっていたクリスティン・リンクレーター女子によって創作され、現在は多くのアクターが世界中で学んでいます。
「Freeing the Natural Voice(フリーイング ザ ナチュラル ヴォイス」と呼ばれるこのヴォイスは、真実の声を追求するものと言えます。
ヴォイスを妨げてしまう、三つの障害として
・Alignment(骨格の並び)
・Tension(緊張)
・Emotion(心のトラウマ)
を上げ、これらをさまざまなエクササイズを通し取り除き、ヴォイスの幅、強さを発達させ、細やかな感情表現を表せるようにします。
まさに心技体を通してヴォイスを自由にすることによって、感情豊かな心からの言葉を発することができるようになります。表現する側が、明快な声、はっきりとした滑舌、そして自分自身が何を伝えたいのか思考を明らかにすることで、そのコミュニケーションはダイナミックなエネルギーをもって、聞き手に伝わるのです。(「アート オブ ヴォイス」著:登坂倫子 現代書館より)
ダンサーのワークとしてもとても魅力的です。心と身体に目を向け、骨格の並びを整え、緊張やトラウマを取り除けば、身体が自由になり、ダイナミックなエネルギーをもって観客に届けることができます。身体を使う仕事をしている自分の心身が、このワークによってどんなふうに変わるのかとても興味深く受講しました。
今回は全30時間。日曜日の夜 welcome dinner で顔合わせ、月、火、水、金は9:00~6:00(ランチ休憩含む)のワーク、木曜日はお休みで近くの遺跡や街に連れて行ってくれました。
ワークは
・ヴォイスの成り立ちとそれを邪魔するもの から始まり、
・身体の認識
・おはようのシステム
・リラクゼーション
~
・呼吸の解放(Sigh of relief)・・・・・・
と進んでいきます。
その中で度々テキストワークが行われます。テキストワークというのは自分で用意して暗記してきた詩やモノローグをみんなの前で暗唱します。最初にやったときは頭で考え間違えないように、うまくやらなきゃ、という思いでした。が、ワークが進んでいくと、自分の声とは思えないような声が出たり、身体が動いたり、思いもよらない変化が現れました。最後には、踊りながら身体中で表現している自分がいました。
ワークの中では「イメージしてください」という声かけが頻繁に行われます。自分の横隔膜、自分の脊椎、自分の身体を様々な声掛けでイメージします。目をつぶって全身リラクゼーションしてイメージの世界を飛び回ります。自分の中にイメージができれば、次に起こることがスムーズになります。
また、イメージの視覚化として絵を描くこと、ほかの人の絵を見て受けるインスピレーションを言葉にすること、もらった言葉から詩をつくること、など、イマジネーションとクリエーションを繰り返すワークもありました。自分ではマイナスのイメージだったことがプラスに捉えられたり、言語化することで明確になることもありました。
私が苦戦したのは顎、舌のワークです。顔が固まりすぎていて動きません。自在に顔の筋肉を操る先生は脅威です・・・これからの大きな課題として持ち帰りました。
ワークを通して自分に起こったこと。
Linklater Voice Center には野外劇場があります。芝生のその劇場で裸足で踊ってみました。何も考えず、大地と風と空と身体が一体となって自由な動きが生み出されているような感覚がありました。
この自由な感覚が日本に戻ったときにまたどう変わっていくのかも気になるところです。
いずれにしても30時間で体得できるようなメソッドではなく、今やっと入口に立ったところです。これからワークを重ね、自分の中に落とし込んでいきたいと思います。そして自分自身が進化してプリボのみなさんに還元していけたらと思います。